昨今,医療系の研究においてはサンプルサイズの事前設計が必要不可欠になってきています。サンプルサイズを事前設計するためには3つの要因について考える必要があります。その要因は①有意水準(αエラー),②検出力(1-βエラー),③データの差の程度(平均や標準偏差で表される。基本的にはeffect size:効果量で代用します)になります。有意水準は0.01や0.05で設定します(0.05で良い場合が多い)。検出力は有意水準に基づいて設定することができるため(β=α×4~5%という方法が推奨されています。対馬栄輝,医療統計解析使いこなしガイドpp228),有意水準を0.05とした場合は75~80%となります(有意水準を0.01とした場合は95~96%)。最も悩ましいのが効果量です。よく使われているのが効果量のMedium(中程度)値です。理学療法学会連合のホームページに一覧があります。

https://www.jspt.or.jp/ebpt_glossary/effect-size.html
これまでの査読では効果量の根拠を求められてきませんでした(明確なルールがないため)。しかし最近では,なぜその効果量にしたのかを問われることがあるようです(効果量の中程度でも厳しいときもあるみたいです)。現在1番良いとされている効果量の設定方法は,過去の類似研究から求めることと言われています。
先行研究の平均値や標準偏差,人数などが分かれば効果量を算出できます。以下のホームページに自動で効果量を算出してくれるエクセルファイルがあります。是非活用してみてください。
これまでの内容を整理すると,①有意水準は0.05,②検出力は75〜80%,③効果量は中程度を使用 or先行研究を参考に算出する。④それらを用いてG*power(または改変Rコマンダーでもできます)に代入する。となります。