CLinical prediction ruleの紹介


理学療法士が臨床の中で行う検査測定項目は、非侵襲的な検査測定が主であり、それぞれの検査項目単独では尤度比や事後確率が低く、診断特性には限界があります。そこで、いくつかの独立した検査項目を組み合わせて、尤度比や事後確率を高め、その診断特性や予測精度を上げる臨床予測式(clinical prediction rule:CPR) があります。

今回は、clinical prediction ruleを用いた論文をいくつか紹介します。

 

Hicksらの報告 

①年齢(40歳以下),②SLR(91°以上),③腹臥位での不安定テスト陽性,④異常運動の存在,⑤腰椎のスプリングテストによる腰椎の過剰運動性陽性の5つの検査から構成されるCPRのうち,3つ以上の検査が陽性であった場合,腰椎スタビライゼーションによって腰椎伸展時の後屈による痛みが改善する可能性が事前確率33%から事後確率68%に上昇したと報告している。

 

Currierらの報告

①股関節・鼠径部の疼痛または知覚異常,②大腿前面の疼痛,③膝関節屈曲角度122°未満,④腹臥位での股関節内旋角度17°未満,⑤股関節の離開による疼痛の5つの検査から構成されるCPR のうち,2つの検査が陽性であった場合,股関節のモビライゼーションによって膝関節痛が改善する確率が事前確率68%から事後確率97% に上昇したと報告している。

 

CPRには3つのタイプがあります。

1)診断補助,2)予後予測,3)治療内容の決定補助,の3つの目的があると言われています。

理学療法診断学教室では,それぞれの目的に応じたCPRが提示できるように臨床研究を進めています。